長期的な視野で結果づくり

2018年4月16日

 3月の年度末、バラエティ番組で20年以上続いた「めちゃめちゃイケてるッ!」、30年以上続いた「とんねるずのみなさんのおかげです(した)」をはじめ多くの長寿番組が最終回を迎えた。テレビ番組は販売向けディスクや有料配信等を除けば「形のない商品」だが、長年支持されてきたロングセラー商品が生産・販売終了したといえる。
 一方で4月からの復刻版商品といえるのは「TVチャンピオン」だ。毎回○○王選手権とテーマを決めて、体力だけでなく知識や技能等、一般人が参加して競うあの番組。昔見ていた時評子としては「世間にはプロでなくとも、一つの事を極めて研究・修練する〝地味に凄い人〟は結構いる」という事が思い知らされていた。
 前者に対して思うのは、移り変わりの激しい娯楽産業において商品を〝買い支え〟てきた視聴者と、その一方で製作者はクレーム対応やコンプライアンス等、規制が厳しくなる時代の変化に対して継続と変化の取捨選択の難しさ・重要さ―を考えさせられる。
 後者では数年前に総務省が「変な人募集」をキャッチコピーに、独創的な人向け特別枠「異能(Inno)vation」プログラムを開始したが、仕事であれ直接の生産活動でない趣味であれ、世に埋もれた技能や知識を持った人に期待しての支援、さらにそれらを評価できるような着眼点の持ち主や、それらを活かせる環境づくりが重要ではないだろうか?
 ネットが普及して以降、何の関連性も無い人同士が情報を共有しやすくなった現在。ねじ・ばね業界のメーカー・商社―さらにはあらゆる産業の業界内で、当たり前と思っている知識や技術が実は異分野・異業種で応用が利く事が期待される。
 知識の蓄積や技術の研鑽…通常業務以外に余力を活かし、後々になって有意義な「次の一手」「実験的取り組み」「研究開発」となる事や、「三方良し」で云うところ「世間よし(世の為)」につながる社会貢献活動も含めて必要なのかもしれない。
 景気は回復しつつあるが、バブル崩壊以降の不景気の時期、余裕がなく長期的視野よりも短期的に目先の利益に捉われがちとなるのは、どこも同じだったはずだ。
 学問(研究)の世界でも、長期的に取りかからなくてはならない事だとしても、予算・科研費の確保―等で短期的に結果を求める傾向。また政治や経済でもトップは任期中の実績を考えなければならない一方、任期後にも残る功績づくりもまた重要だ。
 自由経済は競争原理だが「すぐに結果を出す」の言葉に追い立てられて、広く長期的な視野でみる事ができず、大きな利益となるロングセラーやヒット商品を生み出す機会を失ってしまうのはおそろしい。

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