海外展示会を視察の機会に

2018年4月9日

 本紙3月26日付で既報の通り、明日より高雄市で「2018台湾国際ファスニング見本市」が開催される。同じく11日からは名古屋において「第3回名古屋機械要素技術展」が、アメリカでは「ファスナーフェアUSA2018」が、さらに16日からは本号で取り上げている「国際ワイヤー展(wire2018)」が独・デュッセルドルフで開催される。国内外におけるねじ産業の動向を掴む場として有効に活用したい。
 ねじ業界においてはプロモーションに関してもまたグローバル化が進んでいるのではないだろうか。あるねじメーカーではこれまで代理店を通じて海外の展示会に出展していたが、海外展開を進めるにあたって外国籍の人材を採用することで単独で出展できる体制を構築していた。単独での出展が難しくとも県や公益法人がブースを確保して出展企業を公募する「共同出展」のケースも多く見られるため、これら各団体のサポートを受けながら出展するということも考えられるだろう。
 これら展示会は技術相談をはじめ調達・商談の場として活用されるものであるが、舞台が海外となった際には他国のねじ産業を視察する場としても有用な機会となるだろう。例えば台湾のねじ産業は輸出志向の構造となっており、各国の規格に沿った標準品を大量に輸出してきた。しかし近年では特に中国製品との競争が激化しており、特に一昨年にはEUによる中国製ファスナーに対するアンチダンピング税が撤廃されたこともあって自動車や医療といったより高度な技術が要求される分野へのシフトを迫られている。「金属工業研究発展中心(MIRDC)」の関係者によるレポートでは台湾ねじ産業の現状について、人材の高齢化等による人手不足に直面しているほか合金鋼等のハイエンドな製品の市場が未成熟であるとしている。また、検査精度に課題があり、生産システムが十分に統合されていないことから少量多品種生産への対応が不十分であると分析している。そしてその解決策としては工場そして物流の「スマート化」、環境負荷の低減及び労働環境の改善を目的とした「グリーン化」を挙げていた。変化の時にある台湾ねじ産業を自分の目で確かめるのも良いだろう。
 昨今ますますグローバル化が進むねじ産業を理解するにあたって海外の展示会は今後重要性が増していくのではないだろうか。前述の課題及びその対策は日本のねじ業界にも一部通じるものがあり、一概には言えないが台湾のシフトチェンジは日本へのキャッチアップを意味するのではないか。特に近年では関西の業界団体をはじめとして海外視察の機会が増加している。展示会を一つの足場として活用することで自社の経営に役立てていきたい。

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